長期優良住宅とは、国が定める長期使用を可能とする性能基準を満たし、長く快適に住み続けられると認められた住宅です。近年、住宅を建て替えるのではなく、長く住み続けるという考え方が広まりつつあります。そこで注目されているのが長期優良住宅です。この記事では、長期優良住宅の認定基準やメリット、申請方法について詳しく解説します。
「長期優良住宅」とは?認定基準も解説!
国土交通省は、長期優良住宅を「長期にわたり良好な状態で使用するための措置」が講じられた優良な住宅と定義しています。つまり、将来にわたって長く住み続けられる住宅だと国が認めた住宅です。この制度が制定された背景には、住宅を作っては壊す時代から、手入れをしながら長く住む時代へと変化したことが挙げられます。
長期優良住宅の認定を受けるためには、住宅の長期使用を実現するための総合的な性能基準を満たす必要があります。たとえば構造面では、震度6強から7程度の大地震が起きても建物が倒壊せず、修復できる程度の損傷に抑えられる耐震性能が求められます。省エネルギー性能についても、一般的な住宅と比べて1.5倍以上の断熱性能が求められます。たとえば北海道では、壁の断熱材を従来の90mmから140mm程度に増やすことで基準を満たすことができます。また、床下空間を330mm以上確保することで湿気対策を行い、配管の点検や交換を容易にするなど、維持管理のしやすさも重視されています。
さらにこれらの性能を長期的に保つために、10年ごとの点検実施や、不具合が見つかった場合の補修計画を事前に定める必要もあります。加えて、土砂災害や津波、洪水といった自然災害のリスクに配慮することも求められています。これらの基準を満たした上で、市区町村や都道府県に認定申請を行い、承認を得ることで、初めて長期優良住宅として認定されます。
長期優良住宅を建てるメリット
長期優良住宅を建てるメリットの一つは、住宅ローン控除を受けられることです。長期優良住宅でローンを組んで住宅を取得すると、最長13年間にわたって税制優遇を受けることができます。住宅ローンを組んだ場合、毎年の年末ローン残高の0.7%が所得税と住民税から控除されます。控除対象となる残高の上限は5,000万円です。
たとえば、4,000万円の住宅ローンを組んだ場合、一般住宅では3,000万円分しか控除対象になりませんが、長期優良住宅では上限が5,000万円であるため、4,000万円全額が控除対象となります。これにより、13年間で最大455万円もの税額控除を受けられ、住宅取得後の家計の負担を大きく軽減することができます。他の税制面でのメリットもあります。2024年3月31日までに取得した住宅であれば、不動産取得税は、一般住宅に比べて控除額が100万円も多くなります。
1,200万円までが控除される一般住宅に対し、長期優良住宅では1,300万円まで控除を受けられますので、よりお得に住宅を取得できます。加えて、住宅の所有権移転登記などに必要な登録免許税も、税率が引き下げられます。さらに新築住宅を取得した場合、固定資産税が半額になる期間も延長されます。
一般住宅の場合、一戸建て住宅では3年間、マンションなどの場合は5年間ですが、長期優良住宅ではそれぞれ5年間と7年間に延長されるため、長期にわたって税負担を軽減できます。このように、税制面で大きな優遇を得られるため、メリットが非常に大きいといえるのです。
長期優良住宅の申請方法とは
住まいを長く大切に使用できる建物として認められるためには、いくつかのステップを踏む必要があります。まず、住宅の性能を専門的に判断できる評価機関へ、チェックを依頼します。たとえば、屋根や壁の断熱性能、耐震強度といった基準をクリアしているかを調べてもらいます。
この時に準備する書類として、間取りや構造を示す設計図、建物の仕様を説明する資料、そして各種数値を証明する計算書類などをそろえます。これらの準備には、建築士や不動産の専門家からサポートを受けることが一般的です。たとえば、外壁の断熱材の厚さや窓ガラスの種類、基礎の強度など、細かな項目まで記載が必要になるためです。
評価機関による確認が終わると、基準に適合している証明(適合証)が発行されます。適合証は、家が長期優良住宅としての基準を満たしていることを証明する重要な書類です。適合証を取得したら、次は行政への申請です。住んでいる地域の市役所や町村役場に、適合証と併せて準備した必要書類を提出します。この申請書類には、家の設計図や工事内容の詳細などが記されており、専門的な知識が必要となります。住宅メーカーや設計会社などに相談しながら準備を進めましょう。
まとめ
長期優良住宅は、高い耐震性や省エネルギー性能、維持管理のしやすさなど、厳しい基準をクリアする必要があります。しかしその分、住宅ローン控除や不動産取得税の軽減など、手厚い税制優遇措置を受けることができます。これらのメリットを最大限に活用することで、家計の負担を軽減し、より快適な暮らしを実現できるでしょう。長期優良住宅の建築を検討する際は、専門家へ相談し、資金計画や住宅性能についてしっかりと理解しておくことが大切です。